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やそはちの米作り日記

東京農工大学の有志メンバーで作られた「やそはち」が千葉県香取市で農家の方にお借りして、お米を作ります!

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2月4日 「農業から見る、地方と都市のゆくえ」

こんばんは。自称三重人格ネチズンの水谷です。
先日の今さんに続き、第二回・2月4日のやそはちの活動をここに報告いたします。
が、無駄に長いうえに四分六で「感想文」となってしまったことをまずお詫び申し上げます。
どちらが四かは、お察しください...

では、はじめましょう。


 * * *


平成24年2月4日土曜日、昼下がりの農工大府中キャンパス。
春のはじめに似つかわしいうららかな気候の中、私はひとり2号館の前に立ち尽くしていた。雲一つない快晴で、やわらかな日差しがたいへん心地よい。風もなく、ぼんやりしていると眠気に襲われそうな陽気である。
大方、こうした休日の府中キャンパスは人様よりむしろ草木・鳥々のためにあるのだろう、などといった空想を巡らせていると、後ろの建物の中から人の声が聞こえてきた。一階の部屋の窓はすべて閉まっているにも関わらず、その力強さは外まで伝わって来てなお余りあるように感じられた。

「おっ、安西さんの声だな...ついに始まったんだ!」

そこで私は案内係を切り上げて、わくわくした気持ちで2-11教室に入って行くのであった...



このようにして始まったのは、向風学校・やそはちの共催イベント―副題「農業から見る、地方と都市のゆくえ」―である。


ふしぎな巡り合わせで一堂に会することになった両団体の縁は、それこそ安西さんに語らせれば大層長くなるであろう性質のものだが、一言でいえば、世によくある「偶然」―あるいは「運命」―以外の何物でもない、と私は考える。簡単に言えば、千葉県香取市の農家・人見太郎さんの田んぼを「これまで借りていた」のが向風学校、「これから借りる」のがやそはち―つまり我々―ということだ。
これは後の安西さんの講演の中での言葉だが、まさに「同じ釜の飯」ならぬ「同じ田の飯」を食することになるであろう両者の仲である。ひょっとすると、私自身がかねてから向風学校に対して抱いていた非常識な親近感も、そういう曰くあってのものなのかもしれない...


私が思うに、すべての命を養い「つなぐ」という点で見れば、まさしく田んぼは国家国土の「細胞」なわけで、人が変わったからといってそのメソッドまで変えるのは好ましい事ではないだろう。「郷に入りては」という言い草もある。
したがって、田んぼの引き継ぎや説明会・報告会などをいろいろ兼ねて、この二月四日にささやかな―しかし私たち皆にとって大きな意義を持つ―会が催されることになったのは、たいへん有意義なことであると言えよう。やそはちの門出もここになんあるべき、私的にはそうも思っている。


淵野先生、千賀先生をはじめ、主催団体以外からも多くの方々がいらっしゃった。人見さんのお父様もお越しになっている。
どんな講演会になるのかは順を追って見ていくことにしよう。


さて、その次第はというと、まず人見さん及び向風学校・やそはちの代表がそれぞれの立場から講演を行った後、三方によるパネルディスカッションが行われる、ということである。


 * *


まず最初に、向風学校代表・安西直紀さんが「二年間のプロジェクトの総集」ということで、御自身方の耕作活動を取りまとめて報告しつつ、都市と地方の関係について熱弁をふるわれる。

安西さん


安西さんは今までの人生(といってもまだまだ断然お若いが)のうちに、数々の試練を体験された方だ。不登校の経験、食生活の偏った高校生活―御本人はこれを「もやし生活」と名付けておられる―、さらには母が病に倒れるなど、様々な苦境を通じて思い至ったのが、「食」への疑問であったという。

「我々は、毎日食べているものの作り方さえ知らない。...我が身がふわふわと浮いており、地に足がついていない心地がした。」

実を言うと、私も安西さんとまったく同じ実感を抱いたことがある。

今日の経済システムにおいて不可欠な「分業」が効率主義の名目においてどこまでも推し進められてきた結果、我々は自立性を失い、生活力の弱い不具な存在に貶められた。有機的で懐かしい「ふるさと」を離れ、都市生活―賃金労働という便利だが機械的な生活スタイルに依存した結果、まさしく安西さんの仰るような「地に足つかぬ」状態に陥ってしまったわけだ。
こうしたやる方なさは、多くの食材を輸入に頼っている我が国の危機的現状とあいまって、高校生の私をして農本主義的な思想を抱かしめたのであった。


ところで、話を聴いていると、安西さんは私とは全く違った方向へ動いたらしい。
実行第一をモットーに掲げる安西さんは、知人の口から耕作放棄地の話を聞くや否や、勇者のごとく現場に乗り出したのだ。私がハムレットなら彼はドン・キホーテというわけだ。そして、安西さんの講演の要旨はまさにこの点にあると言える。というのも、若い世代は大方みな私のような理論先行型の慎重派であって、成功よりも「失敗しないように」生きる傾向がある、と安西さんは指摘する。恥ずかしながら、まったくその通りであると言わざるを得ない。実行しなければ何も変わらないし、失敗・再試行が許される「あそび」ある社会も生まれないというのに。

「情報よりも体験から学べ!」

私自身、安西さんのこの言葉を肝に命じて生きる必要が大いにあると感じた。


田んぼの作業についても、御自身の感想や反省点などをイキイキと述べられた。
「代掻き」の重要性は今後の私たちの活動に活かせそうだし、秋の収穫―安西さんの風に言えば、「発表会」―に際して抱かれたカタルシス的心情は、私の心を愈々うっとりとときめかせた。いったい、「汗と疲れがぶっ飛ぶ」とはどんな心地のことを言うのだろう?

「手を使って『学ぶ』。日々の活動が創作だ」

こうした詩的な発言が、やがてやそはちの活動を盛り上げることにならないはずがなかろう、などと考えながら、いつになく教壇から注意が逸れることなく話に聴き入っている自分がいた。


他にも、たくさんの写真―育っていく稲から綺麗な風景、楽しそうな人々の笑顔まで―が次々とスクリーンに映し出される度に、私のやそはちへの期待感も高まるのであった。


 *


数分の休憩を挟んで壇上に上がったのは、他でもない、我らがやそはちの旗頭・土屋遼太君である。

つっちー


彼がマイク無しの堂々たるスピーチの中で述べたやそはちの活動方針・所信表明については、実際のレジュメ(「やそはち」紹介資料)を参照していただきたい。たいへん良くまとまっているし、講演の内容も大方これに尽きると言ってよい。


安西さんのお話を聴くにつけても、ひとつ一つの行動の積み重ねが収穫の歓喜(実際にはまだどんなものかを我々が知る由も無いが)をもたらすことは間違いないと思った。
だとすれば、堅実な「土屋流計画」はこの上なく頼もしいものであると私は思う。あまり言うと余計なプレッシャーになるかもしれないが、すごく期待しているぜ、つっちー!(^^)


「今どきこれほどしっかりした大学生がよくぞいたものだ...」

誰かがこう漏らしていたが、思うところは我らとて同じであろう。

大要を伝えて、次に詳細を述べる。

こうした目の覚めるような秩序立った構成は、聴いていてとても気持ちが良いものだ。来場者―とくに農工大生3人―への謝辞を聞くにつけても、よく行き届いた素晴らしい演説だ、と私は非常に感心した!


ところで、耕作活動の長期的な継続予定については、まだ意見がまとまっていないのが現状である。
ゼミにするのかしないのか、後輩や顧問の受け入れ等も含め今後じっくりと決めていくべきだ、というのが今のやそはちのコンセンサスと言ったところである。
しかし、土屋君も言った通り、よそ者が地方に入って土地を耕す以上、それにふさわしい責任を負う必要があるし、人見さんや周りの農家さんに迷惑がかかることは絶対に避けなければならない。
私としては、活動していくうちに考えも(良かれ悪しかれ)現実的な方向へ変わっていくもの、と考えている。
それにしても、この時はかの安西さんの熱弁の後だけあって、私はもちろん、土屋代表の心意気も一入だったと想像するのだが、皆さんはいかがお思いだろうか。


 *


さて、最後に壇上に立たれたのは、やそはちの先生であってこの講演会の仲人的存在でもある人見太郎さん。

人見さん


眩いオレンジ色のつなぎに着替えた姿は、私をして不覚にも消防士を思わせた。なるほど、人見さんの実際的で冷静なお話は、安西さん・土屋君と続いて燃え上がった参加者たちの心を鎮めるのに一役買われたようにも思われる。しかし、さすがは現役農家であられるだけあって、私個人としては激しく心を揺さぶられたし、襟を正して耳を傾けるべき有益な言葉が目白押しであった。

「耕作を通して学び取ってもらいたい事」というスライドは、今後耕作をしていく我々にとっても、はたまた地方と都市のあり方を真剣に考えるすべての人々にとっても、たいへん参考になるものだと思う。いや、それだけでなく、人見さんの人生哲学さえ詰まっているように感じられる。是非ともこちらには目を通していただきたい。(人見さん 「耕作を通じて学び取ってもらいたい事」)


そもそも人見さんが向風学校を受け入れた理由の一つに、都市と農村の関係が「経済一辺倒」になっていることへの懐疑、という点で安西さん・人見さん双方の考えが一致したことが(私の耳が正しければ)あげられる。
恐縮ながら、私の考えもこれとまったく同じである。どんなことであれ、人よりモノ(あるいはカネ)が先行するような事態は好ましくないし、環境保全にせよ地域活性にせよ、「人の活動・人同士の関係が継続すること」によって初めて健全化し、軌道に乗るものと考えている。とどのつまりは、この世を変えるのはモノでもカネでもなく、人なのだ。

人見さんも強調されていたが、「周囲の理解あってこその『やそはち』」であることを私たちは忘れてはならないだろう。それを弁えた上でこそ、地方と都市とを繋ぐ持続可能な架け橋―安西さんの言う「細くても切れない関係」―の構築も可能となるのではないだろうか。


 *


以上、講演の模様を私感を交えながらくだぐだと述べてきた。
この後、三方が前に並んで座り、パネルディスカッションに移ることになる。講演が長引いたせいか、惜しいことにディスカッションの時間はあまり長くなかった。

パネルディスカッション


私としては、やはり安西さんが威勢良く喋る場面が印象に残っている。やそはちの平松君が質問した際には、「向風学校が二年間で耕作を辞めた理由」を話すためにどんどんと時期が遡り、遂には季節が一巡して再び「今」に戻ってくる、というなんとも不思議な印象を受けた覚えがある。つまるところ、多忙で田んぼを手放さざるを得なくなってしまったわけだが、我らがやそはちにもそんな日が来るとしたら、それはそれで光栄なことではなかろうか?
いや、そうではない。やそはちの強みである「それぞれの『個性』」を最大限に活かして活動していけば、向風学校とはまた違った方向性もあり得るのではないか、と私は考える。向風学校から田んぼを引き継ぐ限り、彼らの無念を晴らさなくて良いはずがないではないか?


また、パネルディスカッションで私が特に感心したのは、司会の諏訪さん(向風学校所属)の力量である。
よくまとめ、よく仕切り、パネリストとオーディエンスを繋ぐ役割を見事に果たしておられた。地方と都市のつながりのヒントもここにこそ、と言ったら大げさかもしれないが、講演の内容をさておく中で私が最も感銘を受けたことなので、特筆しておこうと思った次第である。


 *


いよいよ講演会も終わりに近づいた。
ここで、会の総括を依頼されたのが、千賀裕太郎教授である。

千賀先生


千賀研究室所属で博士課程の林さん曰く、千賀先生は会に出席を依頼されればどんな時でも断られないお方である。今回もご多忙の中お越しいただき、最後の締めまでしていただいた。我々一同、先生には感謝が尽きませぬ!


それにしても、先生が前に立たれると自然に背筋が伸びるのは私だけであろうか...
なんというか、一言一言が荘重で、聞く者をぐっと惹きつけるいかめしさがある。

「...農村を守れ!長らく教壇に立って言い続けてきたことが、今やっと届いた。涙が出るほど嬉しい!」

先生がこう仰ったとき、私の中でも何か込み上げてくるものが確かにあった。
まさしく、安西さんのような「良いバカ」は今こそ日本に必要なのではなかろうか? 実験室で理論ばかりこねくり回しているのではなくて、広く大きな青空の下に飛び出して、行動しながら学ぶべきだ。退官が間近に迫った千賀先生はこの日、そういったパラダイム・シフトの重要性を説いておられたのではなかろうか。
こうして、ささやかな学生集団に過ぎないやそはちが限りない可能性を秘めているように思われてくるし、私にもやるべきことがあるような気がしてくるのであった。私はメモを取るのも忘れて聴き入り、気がついたら会場は今日一番の大きな拍手に包まれていた。


 * *


以上のようにして、2月4日のメインイベントは幕を閉じた。この後は、有志の人々が場所を変えて交流会へと移ったわけだが、その中身はここで私が書くことでもなかろうと思う。


あえて私個人の事を書かせてもらうならば、目もあやなる勲章の数々をつけておられた岩立さんがこう仰ったことが、とりわけ心に残っている。曰く、

「一つの見方に縛られてはいけない。様々な視点から物事を見ること! 何事にも、長所と短所の両方があることを忘れてはならない。プロとは、後者を極力少なくしていく人間のことである、云々」

様々な個性の光るやそはちは、プロの素質を十分に具えた希望ある集団ではないか、などと自惚れてみるのもまた一興であった。終始しらふでいたつもりなのだが、実際のところ定かではない...


最後に、この日の主役たちによる記念すべきファイティング・ポーズを、どうぞ!

2月4日の主役らによるファイティングポーズ!
(左から諏訪さん、千賀先生、土屋君、安西さん、岩立さん、人見さん)


いやはや皆さん、おつかれさまでした!!(´∀`)ノ



(おわり)



 * * *


それにしても、私のテストは悲惨なことになっている!(°Д°;)
みなさんはいかがでしょう?
私の日常にも、つっちーの企画書と同じくらい計画性があると良いんだが、人生そう都合良くはいかないみたいだ...

Enjoy your spring vacation!
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コメント

水谷君らしい言葉遣いで読んでいてとても心地よかったです!
これから1年を通じて様々な人・物事との「出会い」があるのだと思うといまからわくわくしてきます。

今回は参加できなくて残念だった(TAT)

  • 2012/02/09(木) 02:19:32 |
  • URL |
  • 田中 #-
  • [ 編集 ]

応援しています。

信州から応援しています。
これからもがんばってください。

最後の千賀先生のお話を聞いた時,本当に感動というか…なんか心に響くものがあって感無量という感じでしたね。安西さんや人見さんをはじめとして,今回のような会を開くにあたり関わって下さった方々に心から感謝。やそはちは出会いと感謝を大切にする団体にしたい!…と個人的に思います。

  • 2012/02/10(金) 14:23:10 |
  • URL |
  • こん #-
  • [ 編集 ]

さすがの文章力だね!!
見習いたいですm(_ _)m

安西さんは熱い人でした。
「向風学校」=「向かい風学校」ってよく考えるとものすごい名前だと思う(笑)
でも、このイベントに参加した人達がそれぞれ異なった立場を持ちながらも、こうして互いに繋がれた事には「向かい風」とは反対の性質のものがあると思う。
俺含め、対人関係はちょっと不器用な人が集まった気がするけど(笑)、やそはちの活動では、そういう繋がりを大切にしていきたいと思う。



  • 2012/02/10(金) 21:22:23 |
  • URL |
  • 舘野 #-
  • [ 編集 ]

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